妊婦さんに葉酸が重要であることはよく知られていますが、具体的になぜ大切なのか?いつ飲んだらよいのか?をご紹介します。
生まれてくる赤ちゃんが健康であってくれるよう、今から準備をしましょう。
● 神経管閉鎖障害ってどんな病気?
赤ちゃんがお母さんのおなかの中で成長するごく初めの時期(妊娠初期)に、背中や脳の神経がうまく作られないことがあります。これを「神経管閉鎖障害」といいます。代表的なものに「脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう)」があり、足が動かしづらかったり、おしっこが出にくかったり、頭に水がたまる「水頭症」になることもあります。
● 葉酸(ようさん)ってなに?
葉酸はビタミンの一種で、ほうれん草やブロッコリー、いちご、レバーなどに多く含まれます。赤ちゃんの神経をつくるときにとても大事な栄養です。葉酸が足りないと、神経管閉鎖障害のリスクが高まることがわかっています。
● いつから葉酸をとればいいの?
妊娠に気づく前から、赤ちゃんの神経は作られ始めます。妊娠を考えている女性は、妊娠前から 1日400マイクログラム の葉酸サプリメントを飲むとよいとされています。実は食事だけでは必要な葉酸量をとるのは難しいので、サプリメントの併用が大切です。
※妊娠のタイミングはなかなか早期にわかるものではありません。気付いた時には何週間も経過し大切な神経を作る時期に入ってしまうため、妊娠前からの内服が推奨されています。
※妊婦さん用の葉酸サプリをクリニックで販売しています。1日1粒、結構おいしいです。ご来院された際にお声がけください!
● 世界ではどうしてるの?
多くの国では、小麦粉などの食品に葉酸を入れる取り組みが進んでおり、赤ちゃんの病気がかなり減っています。たとえばカナダでは約46%減ったという報告もあります。
● 日本では?
日本でも2000年から葉酸の摂取が勧められていますが、実際に妊娠前からサプリメントを飲んでいる人はまだ少ないのが現状です。そのため、神経管閉鎖障害の発生がなかなか減っていません。
● まとめ
神経管閉鎖障害は、妊娠前からの葉酸摂取でかなり予防できることがわかっています。赤ちゃんの健康のために、妊娠を考え始めたら、早めに葉酸をとりはじめましょう!
院長 山岡正慶