いちご外来(いちご状血管腫)

いちご外来について

いちご状血管腫いちご状血管腫(乳児血管腫)という、いちごのような赤あざができる乳幼児の良性腫瘍の診断と治療を行う専門外来です。未熟な毛細血管が増殖して発症し、女の子に多く発症するとされています。日本人の発症頻度は0.8~1.7%ですから、珍しい病気ではありません。赤みはいずれ薄くなりますが、痕を残すことがあります。以前はお腹や足など、目立たない部分に出来ても病気の扱いはされずに無治療で放置されるケースが多かったですが、現在では早期に適切な治療を行うことで、瘢痕化のリスクを軽減させることが可能です。お悩みの場合は、当院のいちご外来を受診してご相談ください。

症状の経過

生まれてすぐは平らな赤いアザですが、生後5~7週で急激に大きくなり、生後5か月までに最大サイズの80%になります。ピークを迎えてからは徐々に色が薄れはじめて90%以上は7歳くらいまでにかなり薄くなりますが、痕が残る可能性もあります。過去のまとまった報告では、84%に毛細血管拡張、33%に皮膚萎縮、16%に皮膚のたるみ、12%に瘢痕が残ったと報告されています。

大きさや形状

赤あざは、円や楕円など丸みを帯びた形状で、大きさは1㎝から10㎝を超えるものまであります。血管がある場所であればどこにでもできますが、頭頸部が特に多く、体幹、四肢の順の頻度と言われます。1つだけの単独病変であることが多いのですが、広範囲にいくつもできる場合もあります。また、皮膚だけでなく内臓(肝臓や脾臓など)にできることもあります。

いちご状血管腫(乳児血管腫)の治療方法について

自然消滅しますが痕(色素沈着やたるみ)が残る可能性があります。気にならない場所にある、または小さい場合には経過観察するのも選択肢の1つです。これまでの治療の中心はレーザー治療で、現在でもレーザー治療を第一選択としている施設も多いです。しかし、2016年にこのいちご状血管腫専用のβ遮断薬シロップ(ヘマンジオルシロップ)が処方できるようになり、治療の考え方が大きく変わりました。この内服治療は1960年代に心臓病の治療をしていたお子さんが不整脈の治療によって血管腫も良くなったことから発見されました。院長はこのシロップ剤が販売される前から、非常に巨大な血管腫や、まぶたに発生して視機能の発達に影響が出てしまいそうな血管腫に対してβ遮断薬による内服治療を行ってきました。現在は、血管腫・血管奇形・リンパ管奇形 診療ガイドライン2017において、治療の第一選択としてヘマンジオルシロップによる薬物療法が推奨されており、当院でもこの治療を行っています。

治療が推奨されるケース

診療ガイドラインでは、生命や機能に重大な問題を起こす可能性が高いケースや、部位・大きさ・症状から整容的な問題があるケースに治療を推奨しています。病変が小さいからと言って治療が推奨されるわけではありません。治療適応の考え方は医師によっても異なりるのが現状です。

早期治療が必要なケース

鼻や口、首、眼や耳の周辺にできると気道や食道の圧迫、感覚器への影響、発達や機能の障害に繋がる可能性があるため、早期の治療が推奨されます。また、急激に大きくなる、出血やただれを起こしている場合にも早期治療が必要となります。気になる場合には早めにご相談ください。

ヘマンジオルシロップによる治療

ヘマンジオルシロップとは

β遮断薬であり、主成分はプロプラノロール塩酸塩です。1960年頃から高血圧症や不整脈の治療薬として広く使われてきています。血管腫の増殖抑制や血管腫が小さくなるのを速める効果が期待できるとして2016年7月に厚生労働省より承認され、日本でもいちご状血管腫の治療に使われています。入院によるヘマンジオルシロップの治療開始も行われていますが、当院では外来管理下での治療開始が可能です。他に基礎疾患があるなどで入院による治療が必要な場合には、連携している基幹病院をご紹介しています。

Maruho ヘマンジオルシロップについて

治療の流れ

外来管理下でのヘマンジオルシロップによる治療は、下記の流れで行います。

1治療適応の必要性判断

問診や患部を観察して、治療の必要性の有無を判断します。治療が必要と判断された場合には、ヘマンジオルシロップによる治療の内容、起こる可能性のある副作用やその対処法、治療効果などについて詳しくお伝えします。その上で、治療をご希望になる場合は、再診時に治療を開始します。

22回目の受診・治療開始

心拍数・血圧・血糖値測定などの事前検査を行ってから、院内でヘマンジオルシロップを服用し、1時間後、2時間後に心拍数などを測定して経過を観察します。問題がなければご帰宅となります。その後は、ご自宅で同量を1日2回、食後(哺乳後)すぐに服用します。ヘマンジオルシロップは少量から開始し、目標とする治療量まで2回の増量を経て、副作用を注意深く観察しながら進めていきます。

33回目の受診

内服開始し問題がなければ1~2週で増量を検討します。早いお子様だとこの時期に既に効果が見えてくる可能性があります。当院では視診だけでなく、超音波を使って血流の状態も評価も併せて行います。増量した場合には、再度院内でヘマンジオルシロップを服用し、心拍数などを測定して経過を観察、問題がなければご帰宅となります。その後は、ご自宅で同量を1日2回、食後(哺乳後)すぐに服用します。

44回目の受診

再度、増量を試みます。ここでも必要に応じて、院内で服用後に心拍数や血糖などを測定して、体に強く作用しすぎていないかを評価します。その後は、ご自宅で同量を1日2回、食後(哺乳後)すぐに服用します。

55回目とそれ以降の受診

目標とする治療量に到達したら、その後は体重に合わせて適宜内服量を調整していきます。外来受診の頻度は月1回程度になります。

624週後(治療開始から半年後)

24週間の内服治療で約60%が治療効果を実感できるとされています。この時期にどの程度の期間治療を継続するかを検討します。

症例紹介

症例1

症例1-1

20××/8/4
内服開始(生後5か月)

症例1-2

20××/9/1

症例1-3

20××/10/6

症例1-4

20××/11/17

症例1-5

20××/3/9

症例1-6

20××/6/8

巨大な腫瘤が内服のみで退縮

症例2

症例2-1
20××/9/30

生後1ヶ月

瞳孔にかかっている

症例2-2
20××/10/23

生後2ヶ月

症例2-3
20××/11/20

生後3ヶ月

症例2-4
20××/4/22

生後8ヶ月

中止

眼瞼内部深くまで存在する血管腫
内服のみで完全に消失

副作用と注意点

ご自宅で服用していていつもと違う様子があったら、すぐに受診してください。また、別の医療機関を受診される場合には、ヘマンジオルシロップを服用していることを必ず伝えてください。
薬剤は正しく保管して、医師の指示を守って服用してください。
ヘマンジオルシロップは自律神経に作用する薬剤ですので、非常に稀ではありますが、低血糖、心拍数低下、低血圧などの重篤な副作用を起こす可能性があります。こうしたことから、治療を開始する前に副作用について十分に説明を受けて、万が一副作用が起きた際に適切な対応がとれるようにしておく必要があります。また、定期的に受診して慎重に状態を確認することも不可欠です。
また、ヘマンジオルシロップは気管や気管支を狭くする作用もあるため、気管支喘息の悪化、呼吸困難などを起こす可能性もあります。他にも、副作用として下痢、不機嫌、睡眠障害、嘔吐などを起こすことがあります。こうした点を考慮した上で、治療を受けるようにしてください。分からないことやご不安なことがありましたら、些細なことでもご相談ください。
尚、いちご状血管腫(乳児血管腫)は、見た目で治ったように見えても、治療期間が短いと再発することがあります。反応がよかった場合でも保護者の方の自己判断で治療を中断せず、定期的に受診してチェックを受けることが重要です。

TOPへ